デイアジ初心者の雑記帳

アジングを中心に、お手軽お気楽な釣りについて綴っています。

背中に負ぶさったもの

台風通過で出歩けないので、少し怖い小話でも…。

私は霊感が無い為、見えた事はありません。
これは私の知り合いYが話してくれた体験談です。

 

私より何年も早く海のルアーフィッシングにハマっていたYは、週に3回は釣りに行く人でした。
当時、私は釣りになど興味もなく、Yは本当の釣り馬鹿だと思っていました。
週に3回ということは、仕事がある日でも釣りに行く訳で、仕事で疲れた日でも潮が良ければ海に出向きます。
そんなある日、仕事が長引き、22時に終わったそうです。
翌日も仕事な為、本来なら真っ直ぐに帰宅するべきなのですが、その日は0時に満潮を迎えるので、1時間だけ…と思って寄り道をしたそうです。

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釣場に着いて準備をしていると、地元の方なのか、老婆が散歩をしていたそうです。
「こんばんは」
と、挨拶をしたら、老婆がこう言ったそうです。
「今から釣りかね?
霧が出たら、はよう帰りなさいや」
Yは何の事だか判らなかったが、分かりました。とだけ返事をした。

海面には時折ライズが起こり、メバルかシーバスが居ると判断。
Yはすぐにルアーをキャストし始めたが、熱中したら時間を忘れそうだと思い、時計のアラームを1時間半後にセットしたそうです。
頻繁にライズがあるものの、なかなかバイトが得られず、ルアーチェンジをしたり、小移動をしたりしていると、すぐに時間は過ぎてしまい、時計のアラームが鳴りました。
仕方ない。今日は諦めるか…
そう思って引き返そうとすると、海面からガボッと言う異様な音が聞こえた。
魚のライズの音などではない…。
ふと停めた車の方を見ると薄っすらと霧がかかっている。
老婆の話が頭をよぎる。
Yは気味が悪くなり、急いで車の方に向かおうとした時、ルアーケースを落としてしまいました。
しゃがんでケースを掴もうとした瞬間…

 

ドサッ!!

 

背中に何かがおぶさって来たのです。
恐怖で声も出せないYは、その場で失神し前のめりに倒れてしまいました。
薄れて行く意識の中で、背中が重たく、びしょびしょに濡れて行き、魚の腐乱臭のような臭いが鼻を突いたのを覚えていたそうです。

 

翌朝、地元の漁師がYに声をかけ、意識を取り戻したそうですが、Yは恐怖で暫く動けなかったそうです。
「あんた海に落ちたんかね?」
落ちた記憶は無いが、昨晩あった出来事を漁師に話をすると、
「そりゃぁあんた運が良かったかもしれん。
この場所は、不思議とよう人が落ちるんじゃ」
「大体は流されて離れた場所で発見されるんじゃが、助かった人は1人しかおらん。
何かが背中に乗って来て、重みで海へ落ちたそうじゃ。
あんたもしゃがんでなけりゃ、落ちとったかもしれんな」

 

少し落ち着いたので会社へ電話を入れ、その日は休む事にしたY。
釣具を車に乗せていたら、昨晩の老婆が歩いて来た。
「引きずりこまりゃせんかったか?
もうここで夜に釣りはしちゃぁいけん」
そう言って去って行ったそうです。

 

そんな事があってから、Yはめっきり夜釣りをしなくなりました。
Yも霊感などなかったし、信じてもいないヤツでしたが…

「突然出くわすモンじゃけぇ、夜釣りは気をつけぇよ」
「霊感無くても見えた時が終わりじゃけぇな」
Yがそう話していたのを思い出します。

 

それから暫くして、その釣場はフェンスが張られ、立入禁止になったそうです。