アジと出会ったのは9年前のお盆。
それまで釣りとは無縁な生活を送ってきたし、幼少期に祖父に教えてもらったのは投げ釣りとウキ釣りで、ハゼ、キス、たまに釣れるヒイラギやクロダイの幼魚に喜んでいたものです。
ですから、生きたメバルやカサゴ、ましてアジやサバなどは見た事もない魚でした。
そんな私が釣りを再開した理由……。
夜勤前日の晩にすることが無かったから。
タックルに対する知識も無かったので、210cmの振出ちょい投げロッドを買って、友人に教えてもらいながら餌釣りを楽しんでいました。
3月から釣りを始め、その年の盆前に、波止ガイドを基にしまなみ海道に釣りに出かけたのですが、釣れるのはフグばかり。
場所移動するにも土地勘もなく、近くに見えていた小場所へと移動。
ここもフグだらけで、ヤケ糞でボトムまで沈めてグリグリ巻いて来たらグンッてアタリが⁉︎
フグより走り回る魚の正体は、16cmほどの小アジ。
水面から抜き上げ、常夜灯の光に照らされた黄色い魚体の美しさは今でも忘れません。
居付きのキアジと呼ばれることも、後から知りました。
この日、餌とは言え、このキアジを釣っていなければ、アジングになど興味を持たなかったと思います。
それくらい印象的な光景でしたし、メバルとは違うスピード感のある引きに感動しました。
その後、ワームでアジが釣れる事も解り、年末まで、しまなみの体高のあるキアジを追い続けて、最終的に26cmを釣り上げる事が出来た事は、私を中毒患者にするには十分過ぎる結果でした。
それからというもの、毎週2回はこの場所に通い、人知れずアジングを楽しんだのは良い思い出です。
今では、沖の砂を掘り返したり、潮流が変わったりして、滅多にアジが寄りつかない場所となってしまったのが残念でなりません。
本当に偶然に偶然が重なって、初心者の頃に真鯵と出会えたことは私にとっては幸運だったと思います。