アジを捌く時にいつも気になる。
生物全てに言える事だろうけど、不思議な色や形だなぁ…って。
その一つ一つが進化の過程で得られた意味のあるものなのでしょう。
青物の一種であるアジですが、体色は緑や黄色が多く、筋肉なのか縦に線が等間隔で入っています。
コレはブリなどにもありますが、ここまで顕著なのはアジだけ。
上顎は折りたたみ式になっていて、口を開くと薄い膜が現れ、口が筒状になります。
これによりアジ特有の吸い込みバイトのアタリが出るんですね。
側線も他の魚と違う特徴的な入り方をしています。
マアジ、ムロアジ、メアジ属の側線を良く見てみると、それぞれ違う入り方をしているんですよ。
あと、胸ビレが非常に長いのも特徴。
真鯛や黒鯛も長いのですが、他の青物と比べるとかなり長いです。
デイアジングで見えるところにいるアジを観察していると分かるのですが、この長いヒレを器用に使ってホバリングと言うか、定位するんです。
他の青物が水中を速く泳ぐ為に胸ビレは短く、ウロコも小さくなっていったのに対して、マアジは沿岸系の魚っぽさが残っています。
青物の中ではあまり回遊しない沿岸系の魚だと言えるのかもしれません。
ヒレ全部が黄色っぽいのも特徴です。
又、背側の緑色の体色にも黄色が入ることがあります。
これは居着きのキアジに多く、脂肪が多いほど黄色味を帯びて来ます。
腹側は銀白色ですが、光に当たると七色に光る不思議な色。
パールホワイトと言うか、マジョーラカラーと言うか……。
アジの特徴でもあるゼイゴと呼ばれる硬いウロコを取ると、血合いが見えます。
このアジは血合いが少し赤っぽいので、完全な居着きアジではなさそう。
回遊型のアジになればなるほど血合いの色は濃くなります。
背開きにしたもの。
内臓は比較的小さめ。
このアジは内臓のある場所より更に後方にスペースがあるので、産卵直後の個体でしょうね。
卵か白子があった模様。
釣れたレンジも表層付近。
この時期のアジが年間を通して一番釣りづらいです。
脳〆にして持ち帰って捌いたので、そこまで身に血が回っていない感じです。
これが野〆で長時間置いた後に捌くと、身が赤っぽくなり、硬さもなくなりグズグズの生臭い身となってしまいます。
釣ったら最低でも脳〆まではやっておくべきですね。
こうして観察してみると、一括りに魚と言っても、それぞれに特徴があり、面白いものです。
その形や機能を考え、想像する事で水中での動きや釣り方なども見えてくるかもしれません。